今回は、ブレイディみかこ作の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読みました。
作者のブレイディみかこさんは、1956年福岡県で生まれ、現在はイギリスのブライトンで生活されています。
今作は、そんな作者のイギリスでの生活が自身のお子さんとの会話を骨組みとして描かれています。
タイトルは、お子さんのメモ書きから取られたそうで、最初タイトルを見ただけだと、どんな内容の小説なのか分かりませんでしたが、読んでみるとタイトルの意味が分かりました(^-^)
あらすじ
大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽々と飛び越えていく。
優等生の「ぼく」が通う元・底辺中学は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。
世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。落涙必至の等身大ノンフィクション。
新潮社より引用
感想
作者である「お母さん」と、日本人の母とイギリス人の父をもつ息子「ぼく」との会話を軸に
人種差別や貧富の差、ジェンダー差別など様々な社会問題について語られていく今作は、人類の多様性について深く考えさせられる作品でした。
まだ中学生の「ぼく」が学校での教育や友人との会話から様々な差別について理解を深め、自分自身の考えをもつようになっていく様子は、成長を見守る親のような気持ちになり、
また、今まで自分では考えたこともなかった、純粋な子どもだからこそ生まれる考え方などが知ることができ、
ディープな差別問題をテーマとした小説ながら楽しく読み進めることができました\(^o^)/
「ぼく」の通っている中学校は、白人や黒人、アジア系の血の入った人など様々な人種の子どもたちがいて、授業でも人種差別の歴史や多様性について取り扱っています。
それでも、子どもたちの間では肌の色や住んでいる地域の違いを理由に差別的な言葉が飛び交っています。そんな学校での経験を家に持ち帰り、母や家族と話すことで「ぼく」は、人種差別についての理解を深めていきます。
「ぼく」は、まだ中学生ながら考え方がとても大人っぽく尊敬します笑
肌の色が違うだけで揶揄されても、ムキになることなく冷静に振る舞い、なぜそんなことを言うのか理解しようとします。
そんな大人びた「ぼく」も自分の帰属意識について悩みます。
日本とイギリスのハーフ
(このハーフという言葉も「半分」という意味に捉えることができ、あまりよろしくなく、「ダブル」や「ミックス」という言葉をよく使うそうです)
で生まれた「ぼく」は、日本語が話すことができず、日本に訪れた際も日本人から変な目で見られます。
また、イギリスでも肌の色や顔立ちから外国人だと揶揄されます。
どちらの国にも属しておらず、例えば日本人が外国へ旅行に行ったときに同じ日本人と遭遇したときにどこか安心するような仲間意識みたいなものが自分には無いと悩みます。
生粋の日本人である私には想像もできない悩みで興味深かったです。
けれども、母と会話していくなかで、どこにも属していない方が自由でいられること、それもアイデンティティの一つであるということをなんとなく理解していき、悩みも解消されていきます。
この作品は、様々な差別について理解を深めることができ、決して他の国のことだと思わず、これからも世界の情勢に目を向けながら、知識を深めていきたいと感じました。
また、続編も刊行されており、文庫化されたら読んでみようと思います😄
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